時効援用をすると、信用情報はどうなる？すぐ消える？

時効の援用とは

①時効の期間は借金が消費者金融等の金融機関の場　合最終取引日から5年、個人間では10年であることが多いです。しかし、何もせずにただ5年～10年過ぎたからといって、勝手に時効になるわけではありません。時効を成立させるためには債務者（借りた人）が債権者（貸した人、主に金融機関）に対して「時効なので払いません」という意思表示をする必要があります。これを「時効の援用」といいます。

②意思表示の方法は特に決まりはありません。極端な話、相手方に直接または電話で伝えても問題はありません。しかし口頭ですと言った言わないに確実になりますので、書面で通知する必要があり、もっと言えば「消滅時効援用通知書」を配達証明付き内容証明郵便で送付し、相手方に確実に受け取ってもらうようにするべきです。

③時効には要件があり（最終取引日から5年～10年たっており、中断事由がない）それに該当していれば、通知が届いたことで時効が成立します。

信用情報は国から指定を受けた機関（JICC、CIC、KSC）に登録されている、個人のローン、クレジット等の利用記録です。借金の申し込みや返済状況等がすべて記録されているため、信用情報を見ると各個人の信用力がわかります。

したがって、各個人の信用情報に延滞情報等のマイナスな情報（他には自己破産や債務整理等）が載っているとローンやクレジットカードの審査には通りにくくなります。この状態を世間では「ブラックリストに載る」といっております。但しそのようなリストは存在しません。

会員企業（クレジット会社、消費者金融等）から指定信用情報機関に対して情報提供があれば、「延滞」から情報が変更されます。（具体的には情報自体が消える、または「完了」）

但し、指定信用情報機関によって処理方法が違うことと、一部の業者に関しては嫌がらせなのか情報を上げてくれない場合があります。

時々一部の士業事務所等の方が「信用情報を削除します」とか「回復させます」のようにあたかも自分の事務所がそのように処理をするように書いているケースを見ますが、これは厳密にいえば誤りです。会員企業が指定信用情報機関に報告したから信用情報機関が変更しているのです。

もう少し深く書きますと、ＪＩＣＣは時効援用が成功しますと、基本的には信用情報上からは削除されます。しかし、ＣＩＣは上記記載のように「完了」は入りますが、異動情報が載っている場合は基本的には消えません。（最大５年間は記録が残っています。）ただし、当所でもそうですが、しっかりとした内容の書面で手続きした場合、一部の会社に関してＣＩＣでも削除してくれる場合があります。

したがって時効が成立していても、その事実を会員企業が情報を挙げなければ変更されません。ましてや上記の記載「信用情報を削除します」といった表現の場合、正しい情報でも何とか修正できそうと一般の方は誤解するかもしれませんが、当然信用情報は登録内容が事実である場合、訂正削除はできません。したがって個人的にはこのような表現をすることは適切ではないと感じます。

ただ、まれに「誤登録」されていることがあります。以前ニュースにもなっておりましたが、携帯電話会社のソフトバンクで約6万件の情報を誤登録していた（具体的には延滞していないのに延滞で情報登録していた。参考資料　ソフトバンク（株）お知らせ）ことがニュースになりました。このようなときには信用情報期間に対して調査依頼書を提出し信用情報機関より会員企業に対して調査をしてもらいます。これに関しては確かに「回復させます」という表現につながるのかもしれません。これでも難しい場合は直接金融機関に交渉するしかありません。

しかし私も経験がありますが、大半の金融機関の従業員はわかっていないことが多いです。当職は以前司法書士法人で勤務しており、金融機関（主に消費者金融、クレジット会社）との折衝に当たっておりました。ある顧客に誤登録が疑われるような事例が起こったのですが、直接の担当者レベルでは質問に対して（この場合信用情報について）回答されることはまずなく、後日たまにしか話すことのない管理責任者より状況報告含めて連絡があります。皆さんが良くテレビCM等で耳にする会社であってもほとんどがこのレベルです。

さらに運悪くここまでやっても解決しない場合は、裁判を含め弁護士に相談されるしか解決方法がありませんが、費用と時間をかなりかけることとなりますので、裁判等になる前に解決するべきです。なお誤登録についての弁護士の見解が掲載されている記事も参考までに。

いかかでしたでしょうか。時効援用が成功すれば借金は無くなり、信用情報はほとんどの場合で変更され（情報が消える又は完了となる）返済義務もなくなります。またデメリットもありませんので、一日も早く手続きをしましょう。