医療費の時効援用

冒頭記載の通りで、「医も算術」になってきているからです。さらに平成20年に四病院団体協議会など主だった病院団体で調査した結果、未収金の金額が全国で年額３７５憶円にもなっており、（尚、一時話題になりました消えた年金問題の金額でさえ総額９５０億円、計算上では３年で追い越す・・・）一施設平均でも約710万円に上る（約5570病院）ことが分かったそうです。このことからわかるように、病院側からしても経営上見過ごせない問題になっているからです。

さらにそのことに目を付けた弁護士事務所が複数あり、専門的に取り扱っていることから、公立病院を中心に（運営の原資は皆さまの税金のため）積極的に依頼をし、未収金を回収しようと動いております。また同じ時期に厚生労働省で「医療機関の未収金問題に関する検討会」というものも行われており、社会問題となっている部分もあります。

しかしながら多くの利用者（患者様）はワザと払わないのではなく、本当に払うお金がない方や身に覚えのない方（法的に支払い義務を知らないうちに負っているケースもあります。）であるため、ただ困惑されるのです。

次の項目で触れる医療機関の事情ともリンクしてくるのですが、「患者様との信頼関係」が理由です。債権回収業務をできるのは、弁護士、司法書士、弁護士法の特例として特定金融債権の管理や回収を業として行う事のできる許可を受けた債権回収会社の３者があります。しかしイメージの悪い債権回収会社は、病院の評判にもかかわるため抵抗があるとのことです。その点弁護士、司法書士は個人情報を調べる資格があるので、安心且つ不払い者の住所も調べることができるからとのことです。

尚、依頼したことによって多いところですと約半分程度未収金が回収できたとのことです。（職員対応ですと10％ぐらいの回収率が多いです。）

医療機関はそもそも患者様を治療するために営業されている施設です。したがってまるで貸金業者のような取り立てはできないですし、そもそもする気がないのです。但し、未収金が経営上の大きな問題になるにつれて悠長に構えていることができなくなってしまったのです。

一方患者としては、未収金の多くが救急でいきなり病院に行って持ち合わせがない、あるいは検査を受けた際に多額の費用を請求された等、事前に準備ができないためやむなく支払わずに診療を終えて、後日忘れてしまったり、支払うことができなくなってしまう事によるものが大半です。あるいは治療の甲斐なくお亡くなりになってしまった場合も、亡くなったのに高額の費用を払うことに納得がいかずに躊躇しているうちに時間がたってしまうケースや葬儀等の手続きに追われて忘れてそのままになってしまう等もあります。

いずれにしましても、ボタンの掛け違いから始まり、時間の経過で高額の費用の請求に困惑して解決しないままさらに時間が経ってどうしようもないものがほとんどです。